むべ:「吾亦紅」が仲秋の季語。作者は庭園を訪問しているのでしょうか。園内の案内図に表示のない細い道をちょっと入ってみたところ、そこで思いがけない出会いがあり、その偶然(神様の必然かもしれません)に感謝し喜んでの一句かなと思いました。関東小グループでは、みのるさんの吟行の心得から「桜の名所だから桜を詠む」と先入観を持たず、その日その時の景色や植物、人々との出会いを感謝してこのような偶然の出会いを授かったらいいなぁと思っています。

あひる:吾亦紅が晩秋の季語。素朴で地味な花ですが、なぜか心惹かれます。古くから和歌にも詠まれている花は、日本人の感性に合っているのかもしれません。花壇には似合わず、誰も知らない小径に野の草に紛れているのが似合います。上五中七で、その風情をありありと言い表わしていると思いました。

えいいち:「吾亦紅」が秋の季語。自然公園か庭園の案内図にない脇道に吾亦紅が咲いていた、という句ですが、上五中七の措辞が作者がこの吾亦紅をどう感じたのか語っていると思いました。この吾亦紅には花園のような華やかな美しさはないけれどこの脇道の如く人知れずそっと咲いている姿は素朴で淑やかな美しさがある、と思いました。

せいじ:吾亦紅が晩秋の季語。庭園の絵図にも書いていないような小さな脇道を行くと、そこに吾亦紅が咲いていた。隠された宝物の第一発見者になって小躍りするような気分になったのではないだろうか。吾亦紅はふるさとや母を連想させるようである。吾亦紅のさらさらと風に揺れる姿が、自分を招いているように感じられたかもしれない。