むべ:「露草」が仲秋の季語。(歳時記の版元や編纂者の違いでばらつきがあるようです。)よく見かける草花ではありますが、雨霧とセットになると、このように美しい光景になるのだなぁと思いました。しっとりと濡れ花の藍色はさらに濃く、少し宝玉の瑠璃にも似た質感になっていたのでしょう。下五の「にじみけり」が特に好きです。「露草」の子季語には「月草、ほたる草、ぼうし花」などが掲載されていますが(『ホトトギス季寄せ』第三版)、ここでは「にじみけり」とのペアリングを考えると「露草」がぴったりです。

えいじ:「露草」は、私の歳時記には三秋の季語とありました。露草は、古くから染料に使われていたそうです。ある朝、路傍に咲く露草に小雨のような霧がおりて、あたかも花の青さが滲んでくるようであった、というのが句意だと思います。露草のような低いところに小さく可憐に咲く花の印象を、丹念に見たままに詠まれたのだと思います。宜しくお願いします。

あひる:露草が初秋の季語で、よく路傍に自生しているのを見かけます。瑠璃は青色の美しい宝石のことで、ラピスラズリとも言われています。その色が雨のような霧の中で滲んでいるのです。マタイの福音書6:30を思い出しました。「今日はあっても、明日は炉に投げ込まれる野の草さえ、神はこのように装ってくださる…」露草は霧に濡れているのが似合います。

せいじ:露草が初秋の季語。霧雨(霧のように細かく降る雨)は三秋の季語とされているが、雨霧(小雨のような霧)は季語とはされていないようである。それはともかく、露草は心が洗われるような清楚な花、路傍に零れ落ちた瑠璃(青色の宝石)のような花である。それが雨霧に濡れると、憂いに満ちた少女の瞳のように、美しさは格別となる。「にじみけり」に主観が隠されており、読む人の琴線に触れる。

えいいち:「露草」が秋の季語。露草の瑠璃とは何だろうかと考えましたが雨霧に露草の瑠璃色の花が滲んでいる、と解釈しました。雨霧に打たれ群れ咲いている庭の露草を眺めていると周りの霧に滲むように見え庭の空間全体が艶やかに瑠璃色に染まっていくように感じられる、霧の中の可憐な花の姿とその美しい色合いが静かに広がる庭先を思い浮かべました。