えいじ:「残る虫」は、晩秋の季語です。私の歳時記には、「残る虫は「すがれ虫」ともいい、盛りの時期を過ぎて衰えた声で鳴いている虫のこと」とあります。大きな岩の下から弱々しくも、縷縷と鳴き続けている虫の声に過ぎゆく秋を感じながら、詠み手は自分自身の歩んできた人生の感慨に耽っているのだろう、と感じました。よろしくお願いいたします。

えいいち:磐石の下より縷々と・・という措辞がとても美しく素敵です。残る虫の絶えゆく生命の声は磐石たる大岩の下にいつまでもあるべき人のこころの歌なのだと感じました。

せいじ:残る虫が晩秋の季語。弱々しくなってはいるが、「磐石」という強大なものに守られて、なお懸命に鳴き続けている「残る虫」への敬意と愛情が感じられる。「縷々と」が的確な表現であり、哀愁を帯びた「残る虫」の声に、秋の深まりを感じるとともに行く秋を惜しんでいる。

あひる:残る虫が晩秋の季語で、虫時雨や虫すだくとは対照的な、弱々しい鳴き方をするようです。大きな磐の下の暗い隙間から聞こえてきたのは、細くても途切れることの無い懸命な鳴き声だったのでしょう。虫にとって生きづらくなるこの時期、生命ある限りなお生きようとする虫に愛おしさを感じます。