素秀:供花はその山で亡くなった人に捧げたものなのでしょうか。石碑があったのかも知れません。これから山に登る人たちが安全を祈願したものかも分りません。

あひる:山で命を落とされた人は、どんなにか山を愛し自然を愛しておられたことでしょう。仲間たちはその人を忘れることがありません。夏の山道にそっと置かれた花に託された思いと、それを見て祈りつつ通る登山者の思いが重なります。

むべ:「登山」が晩夏の季語。「登山道」を子季語とする歳時記もあるようです。作者がお花を供えたのか、誰かが供えたお花を作者が登山中に目にしたのか、後者のような気もします。中七「供花を挿したる」から、花立てや花筒のようなものを想像しました。作者は、設えた遺族や友人らの故人を偲ぶ気持ちに寄り添っています。

せいじ:登山が晩夏の季語。昨年の9月に北アルプスの北鎌尾根で滑落して亡くなった友のことを思い出した。同じ思いをしている人は多いだろう。寧かれと祈るばかりである。