むべ:「雷鳴」が三夏の季語。トイレの中では、人は無防備でいるものです。そこへ背後(や側面)の少し空いた小さな窓から思い切り轟きが飛び込んできたのです。中七「度肝抜かるる」にリアリティがあります。そして下五でトイレの中という種明かし。くすりと笑える一句と思いました。

せいじ:雷鳴が三夏の季語。厠はふつう一人だけの密閉空間であり、また昔は薄暗かったから、雷が鳴らなくてもなんとなく怖いところであった。そこに雷鳴がとどろいたのであるから、さぞやびっくりしたことだろう。その様子が「度肝抜かるる」によく表れている。「厠」は田舎の家によくある外厠なのかもしれない。

あひる:雷鳴が夏の季語。夜の雷を想像しました。真夜中に寝ぼけ眼で厠へ行くと突然の雷鳴、度肝を抜かれたのですから、すっかり目が覚めてしまったことでしょう。びっくりとか驚くとかよりも臨場感のある表現です。