むべ:「雷火」は三夏の季語。落雷による火事ではなく稲光のほうの意味でしょう。大きな窓ガラスから見える景色を眺めていたら、すぐそばに稲光が見え、直後に落ちたのではないでしょうか。中七の「一太刀くれし」の擬人化に、天地の間で自然が生き生きと生きている感覚が伝わります。

素秀:雷の季語の中でも雷火だと視覚的季語になります。大きな窓ガラスを袈裟斬りに光る雷は恐ろしくもあり美しくもあります。

あひる:天から地上まで届くような豪快な稲光を見ることが出来るのは、大玻璃だからこそでしょう。暗闇を二つに裁ち切るような鋭い光です。大玻璃が一太刀をくらったという発想がユニークです。

せいじ:雷火が三夏の季語。この雷火は、単なる稲光(稲光は三秋の季語)ではなく、落雷に伴う激しい稲光ではないだろうか。落雷直前、閃光があって、大きなガラス窓が太刀で斬りつけられように見えた。そしてそのあと、轟音が届いて窓ガラスがびりびりと揺れもしただろう。「一太刀くれし」が、光った瞬間の見たままをうまく描写していると思った。