あひる:黄泉という所はだれも行ったことはない筈ですが、だれもがどんな所かとつい想像してしまいます。 黄砂が降って日が翳った景色の中で、ぼんやりとくうを見ている作者が立っています。

素秀:日脚が延びたとはいえまだまだ日暮れの早い春の夕方です。黄砂で視界の悪くなった路地が異界の入口に見えたのかも知れません。

せいじ:黄砂が三春の季語。黄砂が降ると、空がかげって太陽も生気を失い、あたり一面が薄気味悪くなる。黄泉の国とはどのようなところか誰も知らないと思うが、黄の文字からの連想で、おそらくこんなところではないかと想像をたくましくしているのであろう。