むべ:「物の芽」が春の季語。地面には靴跡があるのですが、踏まれて横になったであろう物の芽が今天を向いているのです。春のいのちの力強さを感じます。「立ち直る」ではなく「起ち直る」という漢字の用い方にも工夫があると思いました。

素秀:踏み荒らされた空き地もよくよく見ると草の芽が出ている。靴跡からも起き上がって命の強さも知る春であるなあと。

豊実:物芽はあちらこちらにありますが、人が踏んだ靴跡にも物芽を発見したところに感動があります。

あひる:雑草のように強く生きるという言葉がありますが、春の柔らかい物芽も靴で踏まれたぐらいではめげず、大地の水と太陽の光を得て起き上がったのでしょう。立ち直りではなく起ち直りとしたところに、物芽の強さと健気さが愛情を持って表現されていると思いました。

せいじ:物芽が春の季語。野遊びの人々が萌え出でた草の芽を踏んでできた靴形の跡、そのへこんだ靴の跡をよく見ると、なかにはもう元通りに起ち直っている草の芽もある。やがてすべてが起ち直って靴跡の跡形もなくなるのであろう。なんと力強い草の芽であることよ。