あひる:天狗杉は各地にあり、伝説を伴うこともあるようです。武者震いするとは擬人法ですが、天狗杉にぴったりの表現だと思います。雪深い地域では木々も痛めつけられることでしょう。天狗杉が「ええいっ!」と言って、雪をドサドサと振り落としているイメージです。

素秀:これは天狗杉と言う固有名詞の強さに尽きるようです。杉美林や大杉ではこの迫力は出ないように思えます。

むべ:「雪」が冬の季語。「天狗杉」という上五にインパクトがあり、引き込まれます。そして枝に積もった雪が落ちる様子を「武者震ひして」と表現したところがすごいと思いました。下五の「雪落とす」が生き生きと目の前に絵として立ち上がってきて、ひとつの無駄もなくすべてのパズルがぴたっとはまるようです。

せいじ:雪が冬の季語。天狗杉といわれる杉は修験道に関係する山にはどこにでもあると思うが、昨年の秋に行った鞍馬山を思い浮かべた。ケーブルカーを降り、薄暗い参道を上っていく。参道の横には雪をかぶった杉美林が続いている。突然、上から雪の塊が落ちてきた。天狗は杉に住んいるという昔話もあるから、落雪を自然現象としてではなく、天狗の武者震いと見たところが面白い。

豊実:大きな杉の木の枝に積もった雪がその重みで垂れ落ちた。枝が反発で揺れるのを武者震いと捕らえたのが面白い。