むべ:「春灯」が季語。上五の「不夜城は」にとてもインパクトがありますね。ナース詰所は三交代制で深夜も数名が勤務中。詰所に隣接して目の離せない患者さんもいて、機械音も聞こえてきます。電灯は明るくしてチェックに余念がありません。華やかで艶めいた季語、春灯、意外でした。誰かにお礼を言われるわけでも評価されるわけでもない夜勤の仕事ぶりに、花を添えた印象です。

素秀:病棟も就寝時間になると病室や廊下の灯りを落として薄暗くなります。その中で煌々と明るいのはナースセンターです。患者にとっての安心の象徴でもありますから、これは春灯が合うのは間違いない所です。

更紗:季語は春灯。入院先での景でしょうか。消灯後なにか用事があって廊下に出たら、まるで不夜城のように煌々とナース詰所に点っている灯りをとても眩しく感じたのではないでしょうか。「不夜城は」と始まるので緊張して句を読みといてきたところみ最後「はるともし」とあるので柔らかさも感じ取りました。夜遅くまで懸命に働いているナースたちへの感謝と温かな眼差しがあります。

あひる:春灯を五七五のどこに入れるかによっても読み方は変わると思いますが、しゅんとうと読むよりも、はるともしと読んだ方が優しさが感じられます。夜通し点いている灯りが、歓楽街ではなく、人の命をあずかるようなナースの詰め所であることに心動かされます。少し寒さも残る春の灯の中に、懸命なナースの働きが続いていることを連想させられました。

せいじ:春灯が春の季語。不夜城といえば歓楽街を思い出すが、春は送別会や歓迎会などでとりわけ賑わっている。同じ季節、病院の看護師の詰所にも灯火がともっている。入院患者のお世話のために夜通し消えることがない。こちらも別の意味で不夜城なのである。

豊実:深夜も働いている現場(不夜城)は多くあるが、助詞の「は」が、特にナースへの感謝を表わしているように思う。詰所が深夜の病院の廊下で静かに灯っている。