よし子:このお句はヨットの勇壮を詠っているのだとおもいました。白い帆を真直ぐに立てて波の上を速力を増しながら走ってゆく、気持ちの良い若さを感じる句だと思います。

小袖:季語の風光るにひかりさんを思い出しました。転舵してがこの句の発見であり立つ白波もやがて水脈を引き遠ざかる。きらめく風に希望と夢を乗せているようです。

うつぎ:私は直ぐ昔の播淡汽船明石港が浮びました。出発の汽笛が鳴ればバックし向きを変え外海へと向かっていく。キラキラと波が輝きほんとに風光るです。一つも無駄な言葉がありません。

素秀:風光るからヨットなどのレジャーボートを想像してしまいます。転舵して傾いたマストが受けるのは外海の光る風です。

あひる:写生句ですが、鬱々とした気持ちを切り替え外へと向かう、心象を秘めた句のようにも思えます。「真向く」という措辞に作者のきっぱりとした気持ちと、「風光る」という措辞に明るい希望が見えるようです。

豊実:外海に向かって漁に出る。ここぞと決めた方向に舵を切る。春の光の中、大漁に期待が膨らむ。

せいじ:風光るが春の季語。春になると日差しが明るくなって吹く風が光るような感じがする。港を出て外海に船の向きを変えた途端、まさにそのように感じたのであろう。瞬間的に味わった開放感が伝わってくる。「真向く」は真正面を向くという意味だと思うが、この言葉は勉強になる。