うつぎ:まっすぐに一を引くの措辞はキリッとした涼しさを感じさせる。一画一画に力を込め丁寧に写経をして心を清めているよということではないでしょうか

むべ:「夏書」が季語。角川書店編の歳時記を見ますと「安吾」が主季語で傍題として「夏書」がありました。一般仏家でもしたそうですから、作者自身が自宅で経文を書いていたのかもしれません。心が静まってすーっと横に「一」を毛筆で書く様子が目に浮かびました。

あひる:安吾の期間(4月16日から90日間)出家者たちは一箇所に集まり集団で修行をし、経文を書写するそうですが、在家でも、それぞれに夏書をするようです。心を清め引き締まった思いで筆を持ち、先ずは一を書いてみているのでしょうか。白い紙と墨の匂いと、緊張感が伝わります。

素秀:夏書が始まるところでしょうか。まず気持ちよく一と書いてみる。筆ならしでもあるようですし、決意のようなものも感じられます。

せいじ:夏書が夏の季語。実家の欄間にかかっていた「精神一到」の扁額を思い出す。夏書にあたってまず、一の字を書いてみる。にじみはないか、墨色はいいか、震えずに真直ぐに書けるか。時間をかけ、手順に従って、心を整えていく。厳粛な雰囲気を感じる。

豊実:経文を書く前に、まずは、筆慣しで一をまっすぐ書いてみたということかと思います。夏書に気持ちが入ります。