せいじ:ブラジルのポルトガル系の人たちも髪は黒いが、黒い髪、黒い眼と重なると、これは日本人を指していると考えるのが妥当かもしれない。日系人ともとれるが、「もちて」の言葉の雰囲気から、ここは作者自身ととって、ブラジルの夏の強烈な日差しに閉口して木陰で一休みしている自分自身を自嘲気味に描写していると解釈することもできるのではないだろうか。

うつぎ:木影で我々と同じ黒髪、黒い瞳の日系の人と一緒だったのでしょうか。ふと最初に入植された人達の勇気と苦労が脳裏を過ぎったのかもわかりません。

素秀:案内の方が日系でいっしょに木陰に休んだとも取れそうです。黒髪の人の多さも感じたかも知れません。

豊実:そのブラジル人は、日本人と同様に髪の色も目の色も黒く親近感を感じたのではないでしょうか。暑い夏に木陰で休むのは世界共通。

むべ:「夏木かげ」が季語。高所ならではの強い日差し、炎暑に焼かれる木々の下に、漆黒の髪と瞳を持った人々が憩う光景を想像しました。その色はこちらの心を見透かすほどの、吸い込まれるような黒だったかもしれません。

あひる:外国の地に立つと、何故か黒い髪黒い瞳の人々に親近感を持ってしまいます。それにしても夏の木かげで涼をとるのは、どこの国の人も同じだなあと思いつつ、作者も木かげに入ったのではないでしょうか。