GH選集鑑賞

やまだみのる

毎日句会みのる選の中から秀逸作品を再選して鑑賞しています。

< 1 2 3 4 5 >
2014年03月29日
満天
啓蟄のデパ地下に人あふれけり
パ地下とは、日本の百貨店(デパート)の地下階にある食料品売り場を指す通称で、おおかたは婦人の客で賑わう。早春はまだ寒いので外出も億劫だが、啓蟄の頃にはようやく春らしくなり人出もふえたのである。『春闌けてデパ地下に・・』では平凡、『啓蟄』の季語を斡旋したことで非凡な作品になっていることに着目したい。(毎日句会2011年3月)
2014年03月28日
英子
おしやベリのはなさく午後のホットレモン
食を済ませ、ご主人や子供たちを送りだしたあと、洗濯、掃除と慌ただしく家事をこなす。気がつけばはや昼時、ときには朝食兼昼食になることも。ようやくひと息をついた午後、主婦たちは、仲良しのお宅に集まってお茶しながら、ぺちゃくちゃとささやかな至福時をもつのである。(毎日句会2011年2月)
2014年03月28日
明日香
と見る間に街白変す春の雪
の雪は大粒の牡丹雪になりやすい。ほろほろ降りだしたかと見ていると忽ちのうちに急を告げてみるみる万物をつつみこんで一面の白銀世界に変えてしまう。『白変す』という措辞によってその様子がリアルに連想できる。(毎日句会2011年2月)
2014年03月28日
ぽんこ
ふらここや靴裏天に突き出して
園を散歩していると腕白たちが賑やかにブランコに興じ、互いにその振幅の大きさを競って遊んでいる。逆とんぼりに落下するのではと心配になるほど勢いよく足を突き出して漕いでいる少年を見て驚いた。(毎日句会2011年2月)
2014年03月28日
菜々
七堂へ雪解のしずく合奏す
先の曲線を美しく見せたい寺院建築では通常雨樋をつけない。七堂伽藍の揃った大寺は多くはないが、それぞれに大きさ、高さ、形状が違うので同じ雪解しずくでも微妙に音が異なる。賑々しく響きあう雪解しずくに音楽のようなリズム感のあることに気づいた。(毎日句会2011年2月)
2014年03月28日
よう子
隣りあふ足湯の縁や遍路どち
遍路で賑わう温泉地。名物の足湯に浸りながら、『どちらから来られましたか』などと気さくに声を掛ける。おなじ遍路同士という安心感が親しみを生み一期一会のご縁を喜びあうのである。(毎日句会2011年2月)
2014年03月28日
はく子
濯ぎもの凍てて吹く風いなしをり
朝慌ただしく干した洗濯物は、寒風にさらされて忽ち凧のように凍りついてしまった。朝日が射しはじめるまで無聊そうに風に揺れているのである。『いなしをり』の措辞がいい得て妙。(毎日句会2011年2月)
2014年03月26日
はく子
点滴に生命つながれ春を待つ
院先の病院のベッドで臥している人の生活ぶりである。循環器系統の病気かあるいは術後であるために食事が採れず点滴だけで栄養を補給している。そのためか体力の回復も遅々としてはかどらず、はたして元通りに社会復帰できる日が来るのだろうかと不安が募る。”春になって温かくなればきっと退院できますよ”とナースに励まされながら希望をつないで頑張っている。(毎日句会2011年1月)
2014年03月26日
菜々
箸先に黄身の弾力寒たまご
鮮な卵の見分け方にはいろいろ方法があるらしい。割ってみてチェックするところは、”卵黄”よりも”卵白”。新鮮な卵は割ったときに卵黄をつつむ「硬い卵白」が盛りあがっており、1番外側の「水のような卵白」が少ないという。もちろん卵黄も丸く盛り上がっていることにこしたことはない。お椀に割った揚句の寒のたまごは見るからに新鮮そうで、プリプリ感に満ちている。箸先で卵黄を突っついてみて確かめそれを合点したのである。(毎日句会2011年1月)
2014年03月26日
せいじ
審判の居ぬ草野球初喧嘩
野球といえば正岡子規のことを連想するが、昨今は老いも若きも草野球に興じる時代である。野球場を借り審判も立てて行う本格派もあるが、たいていは草野原で人数もギリギリで遊ぶものの方が多く草野球と呼ばれる所以である。大人の場合は、遊びと心得ているのでもめ事にまではならないが、子供達の場合は真剣で口喧嘩やちょっとした小競り合いも生まれる。微笑ましいお正月風景として観賞すると愉しい。(毎日句会2011年1月)
2014年03月26日
英子
北風に背を向けて立つガードマン
備会社の勤務規律は軍隊並みに厳しく、警備勤務中は後ろ手に組み直立不動の姿勢で立つことが基本になっている。しかしさすがに真正面から吹き付ける北風にはかなわず思わず背を向け時々顔だけ傾けて耐えているような姿が窺える。ガードマンの厳しい勤務環境に同情する気持ちと滑稽味とが併せ滲む作品である。(毎日句会2011年1月)
2014年03月26日
なつき
貸靴の癖にスケートままならず
近はマイシューズを持っている人も多いと思うけれど、私たちの若い頃のスケート場は貸靴が主流であった。スケートの靴は足首を安定にするために革製の硬い編み上げタイプになっている。上手な人は真っ直ぐに立って滑るので型崩れしにくいが初心者は右に左にと傾く。使い古されたスケート場の貸靴はいろんな人に履かれて変形し変な癖がついている。そうなると足首が安定しないため誠に滑りにくいのである。着眼点が面白く実経験が無ければ詠めない作品と思う。(毎日句会2011年1月)
2014年03月26日
あさこ
霜柱地団太踏みて物干しへ
んなに寒い朝であっても洗濯物を干さないわけにはいかない。物干し場まで移動するために霜柱の立った庭をざくざくと踏み歩いて行かねばならない。滑らないようにと一歩ずつ気をつけて歩くのでぎこちなく、あたかも地団太を踏んでいるかのようなへっぴり腰となる。霜柱が折れる小気味よい音に興じてはしゃいだ遠いわんぱく時代を思い出してちょっとした遊び心も働いている。(毎日句会2011年1月)
2014年03月26日
とろうち
いつの世も恋は変はらじ歌がるた
人一首には恋の歌が43首もあるそうです。妻恋、片恋、浮気、不倫、三角関係、等々時代は変わり世は移るけれども男女の恋物語はいつの世も変わらないものだという実感。百人一首に興じながらふとそんな思いが過ぎった。作者自身の恋の思い出と重なるような歌であったかも知れない。(毎日句会2011年1月)
2014年03月25日
うつぎ
柏手に飛び翔つ鳩や初詣
の初めの新たなる思いをこめて祈願の柏手を打った。その音が境内の静けさに谺する。力強い男性の大きな手を連想する。不意打ちを食って驚いた鳩が一斉に初空へ飛び翔つ。おめでたい感じが初詣の季語に相応しい。(毎日句会2011年1月)
< 1 2 3 4 5 >

- Topics Board - Modified by Minoru Yamada.